「普段の状態」を知ることが健康維持のカギ
私たちは自分の体の状態をどれだけ把握できているでしょうか?
健康診断の結果や基礎体温、血圧などの数値はチェックしているかもしれませんが、それだけが「普段の状態」ではありません。関節の可動域、筋肉の柔軟性や緊張度合、左右の筋力のバランスなど、日常生活の中で意識していない部分にも重要な情報が隠れています。
たとえば、肩こりを感じていない人でも、実は肩の動きに左右差があったり、片側の肩が無意識に上がっていたりすることがあります。また、ぎっくり腰になる前から腰の筋肉が固くなっていたり、股関節の動きが悪くなっていたりするケースも少なくありません。しかし、こうした変化は痛みや不調が出るまでは気づきにくいため、ほとんどの人が見過ごしてしまいます。
靴のかかとのすり減りと体の変化
体の変化に気づかないことを、靴のかかとのすり減りに例えてみましょう。
お気に入りの靴を履き続けていると、気づかないうちに片側だけかかとがすり減っていることがあります。最初は何の違和感もなく履いていても、いずれバランスが崩れ、歩き方が変わってしまうこともあります。もし定期的に靴のすり減り具合をチェックし、早めに修理すれば、姿勢の崩れを防ぐことができますよね。
体も同じで、普段の状態を把握していないと、小さなズレが積み重なり、大きな痛みや不調へとつながる可能性があります。
「普段の状態」を知ることのメリット
普段の状態を把握しておくと、何か異変が起きたときに「どこが普段と違うのか」をすぐに判断できます。たとえば、ある日突然、腰が痛くなったとします。そのときに「いつもより股関節の動きが悪くなっている」「右足のふくらはぎが妙に張っている」と気づければ、問題の原因が腰だけではないと分かります。
特に注意したいのは、痛みが出ている場所と本当の原因が違うことが多い点です。たとえば、膝が痛くても、実際には足首の硬さや股関節の動きの悪さが影響しているケースがよくあります。このように、根本原因が無症状のことも多いため、普段の状態を知ることが重要なのです。
自分の体をチェックする習慣をつけよう
では、普段の状態をどのように把握すればよいのでしょうか?
簡単にできるセルフチェックの方法をいくつか紹介します。
- 関節の可動域をチェック:左右の腕の上がり具合や、腰をひねる動作のスムーズさを確認する
- 筋肉の緊張を感じる:肩やふくらはぎを押してみて、張りや痛みがあるかを確かめる
- 姿勢を意識する:鏡の前で立ち、左右の肩や骨盤の高さがそろっているか確認する
こうした簡単なチェックを定期的に行うだけでも、体の小さな変化に気づきやすくなります。
まとめ
私たちは、意識しなければ自分の体の変化に気づきにくいものです。
しかし、普段の状態を把握しておけば、不調の原因を早期に発見し、対策をとることができます。靴のすり減りを定期的にチェックするように、体の状態も日常的に確認する習慣をつけましょう。それが、ケガや慢性的な痛みを防ぐための第一歩となります。