正しい姿勢とは?「良い姿勢をキープする」ではありません

「正しい姿勢を意識しましょう」とよく言われます。
しかし実際のところ、正しい姿勢とは“負荷がゼロの姿勢”ではありません。
解剖学的にみて骨格の位置関係が整い、筋肉や関節への負担が最小限に抑えられている状態がいわゆる「良い姿勢」です。
つまり、どんなに理想的な姿勢でも、筋肉や関節には必ず一定の負荷がかかっています。
ここを誤解してしまうと、
- 良い姿勢をずっとキープしなければいけない
- 少しでも崩れたら「悪い姿勢」だからダメ
- 猫背は絶対に悪
という極端な考え方になってしまいます。
実は、姿勢改善で本当に大切なのは
「悪い姿勢にならないこと」ではなく、「いろいろな姿勢を取れること」なのです。
なぜ同じ姿勢が体に負担をかけるのか?
人の身体は動くようにできています。
長時間のデスクワークで背筋をピンと伸ばしていても、
ずっと同じ姿勢を続ければ筋肉は緊張し続けます。
この状態が続くと、
- 筋肉の血流低下
- 関節の滑走性低下
- 靭帯や関節包の柔軟性低下
が起こり、やがて痛みにつながります。
代表的なものが次のような症状です。
① 緊張型頭痛
首や肩の持続的な緊張によって起こります。
「姿勢を良くしよう」と力んでいる人ほど発症しやすい傾向があります。
② 肩こり(僧帽筋過緊張)
同一姿勢でのデスクワークにより、肩甲帯の動きが低下します。
③ 腰痛症(筋・筋膜性腰痛)
骨盤や股関節が動かないことで、腰椎に負担が集中します。
つまり問題は「姿勢の形」ではなく、
「動けないこと」なのです。
いわゆる「悪い姿勢」も必要な姿勢
猫背、前かがみ、足を組む姿勢。
一般的には「悪い姿勢」と言われます。
しかし本来、人体は
- 丸まることも
- 反ることも
- ねじることも
できる構造になっています。
もし猫背が一瞬も取れない身体なら、それは異常です。
逆に、猫背にしかなれない身体も異常です。
重要なのは、
どんな姿勢にも安全に移行できる関節可動域があること
これこそが本来の姿勢改善です。
姿勢改善=関節可動域の再獲得
姿勢が崩れる背景には、
- 股関節の屈曲・伸展制限
- 胸椎の可動性低下
- 足関節の背屈制限
など、特定の関節の動きの問題が隠れています。
例えば、
- 股関節が硬い → 腰で代償 → 腰痛
- 胸椎が動かない → 頸部で代償 → 首こり
- 足関節が硬い → 膝に負担 → 膝痛
というように、姿勢は結果であって原因ではないことが多いのです。
姿勢を“形”で矯正するのではなく、
関節が本来の可動域を取り戻すことが根本的な改善につながります。
「良い姿勢を保つ」のではなく「姿勢を変え続ける」
理想的なのは、
- 30分ごとに体勢を変える
- 立つ・座る・歩くを繰り返す
- 背中を丸める時間もあえて作る
といった「動きのある生活」です。
正しい姿勢とは、
一つの完成形ではなく、常に変化できる状態なのです。
本来の姿勢改善とは?
本当の意味での姿勢改善とは、
✔ 良い姿勢を固定することではない
✔ 悪い姿勢を禁止することでもない
✔ どんな姿勢にもなれる正常な関節可動域を取り戻すこと
その結果として、
負担が一か所に集中せず、痛みが起こりにくい身体になります。
姿勢に悩んでいる方は、
「形」だけを見るのではなく、関節の動きそのものを見直してみてください。
姿勢は“正す”ものではなく、
“取り戻す”ものです。
そしてそれは、動ける身体づくりから始まります。







