肩の前の痛み ~上腕二頭筋長頭腱の痛み~
上腕二頭筋長頭腱に起こる主な疾患
上腕二頭筋長頭腱は結節間溝を滑動するため、腱の変性、腱鞘の慢性炎症を引き起こしやすいです。臨床現場では、次の2つが多くみられます。
上腕二頭筋長頭腱断裂
肩から上腕付近の前面に痛みがあり、上腕二頭筋筋腹の膨隆が正常より遠位に移動する。痛みは比較的すみやかに消退し、肘関節屈曲力も低下しないことが多い。
中高年者では、しばしば腱板断裂に合併し、上腕二頭筋長頭腱断裂ではなく、腱板断裂による障害のほうが問題となることが多い。
手術適応となる例は少ない。
上腕二頭筋長頭腱炎
肩関節前面の痛みが主な症状である。結節間溝部に圧痛を認める。肘関節屈曲位での前腕回外で痛みが増強する。肩峰下インピンジメント症候群や鍵盤断裂に合併することもある。
主に電気治療などの理学療法が行われる。